世界のつまみ細工アーティスト 第12回 カーニャ・アドリエンさん

世界で活躍しているつまみ細工アーティストの方々に、つまみ細工について語っていただきます

海外のつまみ細工作家の12人目はハンガリーで活動されているカーニャ・アドリエンさんです。

プロフィール

2016
つまみ細工の作り方をインターネットで発見。最初は、布で花を作り、小さい子供たちの舞台衣装とそれに合う布の花のブローチを制作。その後、最初のクリスマス飾りも。


2017
インターネットを活用し、技法について研究を開始。日本の伝統的な技であり、つまみ細工という名前であることを知る。技法に魅了され、もっと知りたいと思い、知識を深めたくなる。試行錯誤を重ねて自分の形を作り始め、アクセサリー制作が主な作品となる。

2018
ハンガリーで自身の作品を紹介。より多くの方に見ていただき、ワークショップを依頼される様に。Facebookでリボンを使った装飾品やアクセサリーなどをシェアするハンガリーかんざしグループを作り、それ以来活動を続け、自身のYouTubeチャンネルも立ち上げる。主にクリスマスや祝日などのイベントの装飾品や髪飾りを作り、一般の方々に紹介。

2019
ハンガリー開催の日本のイベントに参加。ハンガリーで様々な日本文化を紹介する素晴らしい人たちと出会う。技法やモチーフなどの要素をハンガリーの伝統と融合させる。

2020
オンラインでのモダンかんざしコースを開始。つまみ細工に興味がある人たちのための講座を開講。コロナ禍で、個別指導のクラスはできず、ネットを使って関心を持ってくれている人たちと連絡を取り合う。個人のウェブサイトも立ち上げ、ブログでオリジナルのつまみ細工を紹介する。

Website : https://kanzashi.hu/

Facebook : https://www.facebook.com/buzdorkanzashi

Instagram: https://www.instagram.com/buzdorkanzashi/

Q1. つまみ細工を始めたきっかけは?(あるいは携わるきっかけになったことは?)

2016年の秋、私は3人の小さな女の子たちのベリーダンスグループのために舞台用のダンス衣装を縫いました。衣装に合わせた布でできた花の作り方をネットで探しました。その時、私はこの特別な技法と出会いました。当時は日本の技とは知りませんでしたが、丸くて先のとがった花びらを作ることに魅了されていきました。ラインストーンとラインストーンチェーンで服に着ける小さなブローチをデコレーションしていきました。その後、この技法がどこから来たのかを調べたところ、インターネットでつまみ細工でつくられた飾りということを知りました。

Q2. 作品へのこだわりや、大事にしているところは何ですか?

私はつまみ細工を自分でデザインしています。主にアクセサリーとクリスマスの飾りを作り、その髪飾りを求めてくれるダンサーたちが増えています。知っておいてもらいたい重要なことは、このつまみかんざしはまだ伝統的な技法と工程で作られているわけではないということです。ここヨーロッパでは「モダンかんざし」の技法があります。少なくとも私はそう呼んでいます。それは伝統的なつまみ細工とは必ずしも言えないからです。これに関して私はいくつかの記事を読みました。花びらやその形は似ています。私の使命はここでこの技の発祥を一般の方たちに紹介することだと考えています。なぜならこの技法の起源を知ってもらう必要があるからです。

Q3 あなたにとって、つまみ細工の魅力とは何ですか?

言葉で表現するのは簡単なことではありません。私にとって最も魅力的なことは、際限なくインスピレーションを与えてくれることです!本物の技法も学びたいです。独学で自分で炊いて米糊を作り、かんざしの花の組み合わせ方を学びました。まだまだ素材の数、パターン、色の組み合わせなど改善の余地があることはわかっています。私は自然が大好きです。花は地球上のいたるところ、全ての大陸、国にあります。この技法を使えば、私の作品に少し花を取り入れ、花の多彩さやロマンスを表現することもできます。そして私が得た最大ものは「私の時間」です。自分自身のために費やしたクリエイティブな時間。今の世の中では多くの人が生き急いでいるようです。忙しいライフスタイル、多くの責任、家族、仕事と私たちは自分の中のバランスを崩してしまいがちです。私にとってつまみ細工は、生活に再び自分のための時間を取り戻すことできる素晴らしい形なのです。落ち着いて自分の作業に集中し、より美しい花々を生み出していく、この感覚が魅力です。

Q4. つまみ細工の今後の可能性についてどうお考えですか?

つまみ細工は他のことにも最大限に活かしていける思います。私はハンガリーで、多くの方たちがつまみ細工がもたらす可能性を知りたいと思っていることに気づきました。変わる可能性があるのは、髪飾りとしての用途です。例えば、伝統的な和装だけでなく、結婚式用や祭事用の髪飾りなどにも使えます。様々な季節等のイベントに合わせて、アパートのインテリア装飾に使ったりもできます。そしてアクセサリーや写真、置物など。他の可能性は、いろんな生地で様々な種類の花を作ることができるので、技術的な手順も発展させていかれることです。でも私が大事だと思っていることは、本来の姿はどうであるかということを常に意識しておくことです。この素晴らしい伝統の起源を忘れず、謙虚な姿勢で敬意を払い、その特別な形であるつまみ細工を維持して、新たな可能性に挑戦するということです。

Q5.今後作ってみたい作品は?

本物の作り方を学ぶことに重点を置きたいと思っています。来日して、そこで本物のつまみ細工の技術を学ぶことができたなら、私にとって大きな一歩となるでしょう。そうして初めて、私はハンガリーで本物を作ることができ、この芸術分野を代表することができるでしょう。本物の材料を使って季節や月ごとの形を作ってみたいです。どうしてかというとベリーダンスでもこのような絹を使いますから、私のバックグラウンド(昔はベリーダンサーで今は講師)のおかげで、当地で本物の絹は手に入ります。ハンガリーの伝統技法も用いて、自分の手で植物をつかって染色し、その絹を小さな正方形に切り取ったものを折りたたみ花びらを作り、そして米糊でそのモチーフを仕上げたてみたいです。

Q6.つまみ細工はあなたの国でどのような展開が期待できると思いますか?

この伝統と芸術を紹介する展覧会を企画したいと思います。講演会やデモンストレーション、小さなフェア(作品を買える見本市のようなもの)を楽しめるカラフルで特別な展覧会です。それ以外には、今でも自分のスタイルのモダンかんざし飾りやアクセサリーを積極的に制作していく他、ウェブサイトでも様々なSNSでも、自分が使っている素晴らしい魅力的なつまみ細工の起源や技法、その多彩な芸術を伝えていきます。

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